日本全国、どこにでもある老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の家賃は、どのように決まるのでしょうか?
とても興味深いテーマではないでしょうか?
このしくみが理解できると「費用が高いホームが、いいホームとは限らない」と、気づくと思います。
今回は高齢者施設の開発コンサルタントだからお伝えできる
「高齢者施設の家賃を決める方法」について、お伝えしていきます。
お伝えする内容は、あくまでも一般的な考え方であることを、ご了承ください
まず、想像してみてください
① あなたは、駅から徒歩10分の所に50坪の土地を持っている大家さんです。
② あなたは、この土地に戸建住宅を建てて人に貸し、家賃収入を得ようと考えました。
③ そこで銀行から2000万円を借り入れることにしました。
④ 返済期間は20年間。借入金利は1.5%の固定金利です。計算すると毎月の返済額は、約9.7万円になりました。
⑤ (9.7万円のほかに)火災保険料と固定資産税を考えておく必要があります。他にも、修繕費として積み立てておく必要があるので、これらの固定費として、毎月2万円が必要になります。
ここまで、想像できましたか?
毎月、銀行へ9.7万円を返済し、さらに2万円/月の固定費が必要です。
つまり、9.7万円+2万円=11.7万円が、毎月必要になるということですね!
さて、ここであなたなら、この戸建住宅をいくらで、他人に貸しますか?
※ここでは、立地や近隣相場などは考えないでください
家賃収入を得ようと思ってはじめたのですから、11.7万円以上で貸さなければ、収入を得ることはできません。
もし10万円/月で貸したら、あなたは毎月11.7万-10万=▲1.7万円の赤字です。
毎月、1.7万円を自分で負担することになってしまいます。
では、いくらで貸しますか?
12万円ですか?13万円ですか?15万円ですか?18万円ですか?
ちなみに、毎月18万円で、誰かが借りてくれたら、18万円-11.7万円=約6万円。毎月6万円の安定収入になりますね。
▲これが、土地活用の基本のしくみです。
ここまでは、ご理解頂けましたでしょうか?
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の、家賃の決め方も基本的にはこの考えと同じです。
それでは、次に
わかりやすく、金額などを単純に10倍に置き換えて考えてみましょう。
いいですか?想像してみてください。
※あくまでもわかりやすい事例としてお考え下さい。
① あなたは、駅から徒歩10分の所に「500坪」の土地を持っています。
② あなたは、この土地に「老人ホーム(部屋数は10部屋)」を建てて人に貸し、家賃収入を得ようと考えました。
③ そこで銀行から「2億円」を借り入れることにしました。
④ 返済期間は20年間。借入金利は1.5%の固定金利です。毎月の返済額は、「約97万円」になる予定です
⑤ (97万円のほかに)火災保険料と固定資産税を考えておく必要があります。他にも、修繕費として積み立てておく必要があるので、これらの固定費として、毎月「20万円」が必要になります。
先ほどと同じように家賃収入を得ようと思ってはじめたのですから、117万円以上で貸さなければ、収入を得ることはできません。
もし100万円/月で貸したら、あなたは毎月117万-100万=▲17万円の赤字です。
毎月「17万円」年間204万円、20年間で4000万円以上も赤字になってしまいます。
では、いくらで貸しますか?
120万円ですか?130万円ですか?150万円ですか?180万円ですか?
ここで、2つ、確認してもらいたことがあります
老人ホームを借りる人は誰ですか?
老人ホームの部屋数を確認してください。
老人ホームを借りる人は、介護事業者や医療法人など、老人ホームを運営する会社(事象所)です。そして、この運営する会社(事業所)が、高齢者に部屋を貸す形(転貸)をとります。
このしくみを「また貸し(またがし)」とか、「サブリース」と呼びます。
さて、ここまであなたには大家さんの立場として、想像してもらいました。
少しむずかしくなりますが、ガンバって次の想像をしてください。
ここからは運営する会社の社長さんになってもらいます。
あなたは、運営会社の社長さんです。
お部屋の数は10部屋でしたね。
大家さんからはいくらで借りて、高齢者には、いくらの家賃で貸しますか?
例えば、毎月150万円で大家さんから借りて、1部屋15万円で、高齢者に貸しますか?すると、15万円×10部屋分=150万円になりますね。
これだと収支は、プラスマイナス0になります。
でも、街中を見渡すと部屋が空いている老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、たくさんあります。常にお部屋が満室ってことは、考えられませんので、余裕を持っておかないと倒産してしまいます。
どうしますか?
例えば、家賃を高めに設定しておくとか、入居者に介護サービス以外のさまざまなサービスを提供して、家賃収入の他に、収入を得る方法を考えますよね。
余談ですが、私は、高齢者施設の開発コンサルタントでもあり、入居相談員でもあります。
大家さんの気持ちも理解していなければ、仕事を受注出来ません。
また、介護を必要とする高齢者を持つ家族の気持ちも理解していなければ、ステキなホームをご案内できません。
老人ホームの紹介業者の営業マンの中には、このしくみもわからずに、自分の成績を最優先に紹介している人を見かけることがあります。本当に残念です。
今回のお話はいかが出したでしょうか?
費用が高いホームには、高くなる理由があります。すべてが一律同じとは言えませんが「建物を借りている金額が高いから」が、大きな理由のひとつだということが想像いただけましたでしょうか?
ご存知かもしれませんが、介護保険サービスは、全国一律です。どこも、サービスも費用もほとんど同じです。
高齢者施設の費用の差は、介護サービスでは無いとしたら、何でしょうか?
現役の老人ホーム入居相談員から、あなたにアドバイス
費用が高いから、よいホームですか?
答えはNOです。
〇あなたの希望は何ですか?
〇要望は何ですか?
〇困っていることは、何ですか?
〇どうなったら良いと思っていますか?
〇どうなったら、お困りごとは解消されますか?
困ったら、エスエーサポートの無料相談にお越しください
→ https://e8yes.net/info