「笑い」と「認知症予防」
この2つの要素は、互いに結びつき、私たちの健康の維持に重要な役割を果たしています。今回は、「笑い」と「認知症予防」の関係についてお伝えします。
「笑い」という言葉には、私たちが日常的に抱く概念があります。面白いことやおかしなことが起こって、笑わないわけにはいきませんよね。しかし、その笑いには、深層心理学的な効果があることをご存知でしょうか。例えば、私たちが笑ったときには、体内にエンドルフィンと呼ばれるホルモンが分泌されます。このホルモンは、快楽や幸福感を感じることができる物質であり、ストレス軽減や免疫力UPなどさまざまな効果が期待できます。
私たちの脳には、「ミラーニューロン」という細胞が存在します。この細胞は、他人の行動や感情を観察することで、自分自身もその行動や感情を再現(マネ)することができます。例えば、小さな子供がゲラゲラと笑う声を聞いているうちに、なぜか自分もその笑い声につられて、ついつい笑ってしまったことはありませんか。これがミラーニューロンの働きとして知られています。そして、このミラーニューロンは、人間関係をより良くする効果があることも分かっています。
「笑い」と「認知症予防」の関係性は?
認知症になると、物忘れや言葉の出しにくくなることがあります。そして、症状が進行すると、日常生活を維持することが困難になっていきます。じつは最近の研究で、笑いやユーモアが認知症の進行を遅らせる効果があることが分かってきました。笑いには「ストレス軽減」や「免疫力アップ」などの効果があり、脳の機能を維持することが証明されています。
そして、ミラーニューロンは、人間関係の改善に役立つことも分かりました。さらに人間関係が良好であることが、認知症の予防にもつながることが研究によって明らかになってきました。つまり、笑いを通じて人間関係を改善し、さらにミラーニューロンを活用して、認知症の予防につなげることができるのです。
私は多くの高齢者とお会いしてきましたが、デイサービスなどで人と会い、楽しいイベントに積極的に参加する人は、認知症の進行が抑えられているのではないかと常々感じていたのですが、科学的にも実証されているのですね。
笑いは、私たちが人生において楽しい瞬間を体験するために必要なものです。笑いにはストレスを軽減する効果があり、身体的な健康にも良い影響を与えます。また、笑いには多くの神経科学的なメカニズムが存在しています。言い換えると、笑いは脳科学的にも効果的な治療手段であると考えられています。そして他人が笑う中で時間を過ごすと、ついつい自分自身も笑いたくなることがあります。このように、他人の笑いを観察することで、私たちは笑いの感覚を自分自身でも体験することができるのです。
認知症は、認知機能の低下によって生じる病気です。認知症に罹患する人々の中には、脳への刺激が不十分であることが原因で発症するケースもあります。つまり、脳に十分な刺激が与えられない場合、脳の認知機能が徐々に低下し、結果として認知症を引き起こす可能性が高くなるのです。
他人の笑いを観察することで、私たちは自身でも(ミラーニューロンの働きにより)笑いの感覚を体験することができます。このように、笑いを通じて私たちは脳への刺激を摂取することができます。そして、脳に刺激を与えることができれば、認知症の予防にもつながるのです。
さらに、笑顔には健康に良い効果があることが研究によって明らかにされています。例えば、笑顔の表情は血流を改善し、血圧を下げる効果があることが報告されています。また、笑うことで免疫力が向上し、ストレスホルモンの分泌を抑制することが知られています。これによって、心身ともに健康的な状態を維持することができます。笑いは私たちの身体健康を維持するだけでなく、脳の活性化にも効果的です。笑うことで心身の緊張を解きほぐし、ストレスを緩和する効果があります。また、笑いは脳内にエンドルフィンを分泌させて気分を上げる効果があることもわかっています。さらに、笑いはコミュニケーションを円滑にすることができ、人々の絆を深めることができます。
以上、笑いと認知症予防には深い関連があります。
高齢者だけでなく「笑うこと」と「社交活動」は、健康にもたらすプラス面が非常に多く、笑顔で過ごすことが「認知症の予防」には有効なのです。